研究 / Research

情報学プリンシプル研究系

横井 優
YOKOI Yu
情報学プリンシプル研究系 助教
学位:博士(情報理工学)、東京大学
専門分野:数理情報
研究内容:http://researchmap.jp/yu_yokoi/

サイエンスライターによる研究紹介

複雑な組合せの最適化を目指す

人と組織のマッチングを研究

 病院と研修医のマッチング、研究室と学生のマッチング、空港の発着枠の割当など、社会には望ましい組合せを求める需要は幅広く存在します。私が取り組んでいるマッチング理論は、そのような人や組織の集合の間での、特定の条件を満たす構造的に安定した組合せを理論的に求める研究です。
 現実にある事象に対して、公平性などの概念を理論的に定式化すること、すなわち、誰もが納得できるマッチングを数学的に考えていく点に面白さを感じていますし、先人の考えたアルゴリズムを見ては、構造や定理がよくできていることに、日々感動を覚えています。

実問題の複雑な状況をどう解析するか

 マッチング理論の研究は1960年代に始まり、経済学や計算機科学、数学など様々な分野の研究者が参入する横断的な領域として発展してきました。この理論の標準的モデルに対しては、ゲール-シャプレイ(Gale-Shapley)アルゴリズムのように、安定マッチング(誰もが納得しうる公平性の高いマッチング)を効率的に、必ず見つけることができる優れたマッチング理論も確立しています。
 しかし、現実的な制約が入ると、理論ではすっきり解けなくなることが多々あります。たとえば、学生の希望進路と研究室のシンプルなマッチングなら解を効率的に見つけられても、研究室がダイバーシティに関する制約を設けたり、割当人数に下限を設定したりする場合、問題は非常に複雑になり、安定マッチングを見つけるのが困難になります。このようなモデルに対して、私は組合せ最適化の知見を生かして、安定マッチングを見つけ出す研究を行ってきました。
 同時に、そのようなモデルに対し、そもそも解は存在するのか、解がない場合には解の定義を見直すのか、近似解にするのかという点なども含めて研究しています。

社会に貢献する組合せ最適化理論を目指す

 安定マッチングというトピックは、経済、オペレーションズ・リサーチ、AI等、さまざまな要素を含み、幅広い分野にまたがっています。応用分野は非常に多様ですが、私はどちらかというと理論の構築に関心があり、構造の解析やアルゴリズムの設計を通して、この分野に貢献することを目指しています。
 今後は安定マッチングだけではなく、より対象を広げて組合せ最適化に取り組んでいきたいと考えています。また、ビッグデータ分析の専門家と組むことで、組合せ最適化を必要とする社会の課題に対して新たな理論を構築できると期待されます。そのような機会があれば、ぜひ応用にも取り組み、社会に貢献していきたいと考えています。

※安定マッチングの基本モデル

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取材・構成=桜井裕子

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