研究 / Research

コンテンツ科学研究系

山地 一禎
YAMAJI Kazutsuna
コンテンツ科学研究系 准教授
専門分野:コンテンツ基盤
研究内容:http://researchmap.jp/yamaji/

サイエンスライターによる研究紹介

インターネットを活用して効率的に学術情報を公開する

研究者が自分の研究成果を公表する際、論文や研究会での発表が主で、機会が限られているのが現状です。また、業績を測る手法として多く使われるのが、論文数やその引用回数ですが、数だけが考慮されることが多く、正当な評価といえない場合もあります。現在では、インターネットの急速な発展と活用方法の多様化により、より効率的に研究成果を公開することが可能になりました。特に若い研究者のために、彼らが自分の研究成果や研究資材を次々とネット上に公開し、その効果が自らに還元されるような新しい学術メディアを作っていきたいと考えています。

論文だけではない研究成果の流通モデル

インターネットを活用した学術コンテンツの共有・蓄積・流通は、すでに大学図書館などを中心に進められています。私はこれまで、爆発的に創出される脳・神経系に関する研究成果の統合・共有を目的とするニューロンインフォマティクスという研究分野において、成果物を公開するリポジトリシステムの構築・運営に携わってきました。しかし、研究者自らが積極的に資材や成果の登録をすることはあまりありません。脳・神経系以外の分野を対象にしても、同様の問題が生じるでしょう。この現状を打開し、論文だけではない研究成果の流通ネットワークを創ることを、研究のいちばんの目的としています。新しい科学の方法をも提供し得る、多くの可能性を秘めた学術環境です。それを実現するためには、研究者に成果公開のためのインセンティブを与える必要があります。現在、システムとポリシーの両面から環境構築に取り組んでいます。

学術情報の質の高い流通を目指して

研究者による積極的な成果公開の環境を提供するためには、そのセキュリティについても十分に考慮する必要があります。少なくとも、「誰が」「いつ」「何を」公開したかという内容証明が、インターネット上の成果公開環境でも担保されることが望まれます。新しい学術メディアの構築に向けて、こうした知的財産保護の観点からの研究にも取り組んでいます。具体的には電子署名とタイムスタンプを組み合わせた長期署名と呼ばれる技術に注目し、学術コンテンツに適用するためのシステム開発を進めています。こうした基盤整備により、特に知財管理に厳しい産学連携の研究が加速化することも期待されます。また、この技術を軸に、公開された成果の有効性を測る仕組みについても検討を進めているところです。

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取材・構成 村上朝子

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