研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

吉岡 信和
YOSHIOKA Nobukazu
アーキテクチャ科学研究系 准教授
専門分野:ソフトウェア工学
研究内容:http://researchmap.jp/nobukazu/

サイエンスライターによる研究紹介

ソフトウエアをパートナーに

「考える」コンテンツを作る

自分が撮った家族や友人の写真や作曲した音楽といった「コンテンツ(創作された情報、著作物)」をWeb 上に載せたとき、現在のインターネットの仕組みでは、利用者がダウンロードしてからどう利用するのかを知ることはできません。ひょっとすると悪用されたり、その人の作品として勝手に使われたりしてしまうかもしれません。
このような事態を防ぐためにも、コンテンツが自分で身を守ってくれたら便利です。それには、コンテンツが自分で「考えて」行動しなくてはいけません。このコンテンツが考えることのできる新しい仕組み、「スマーティブ」を、研究しています。スマーティブは考えることのできるソフトウエアとコンテンツを一体化したもので、所有者の条件に沿って、利用希望者との交渉や利用のされ方の監視を自ら行います。逆に、スマーティブを利用したいときには、「ユーザーエージェント」という、やはり考えることのできるソフトウエアが、ユーザーの目的や用途・予算に応じたスマーティブをネットワーク上で探し出し、相手のスマーティブと交渉し、購入を行ってくれます。まるで生き物のように、ネットワーク上でスマーティブたちがコンテンツの所有者やユーザーの代わりに活動するのです。

端末コンピューター自身が選ぶセキュリティーを

情報のセキュリティーに関しては、コンテンツを守るスマーティブだけでなく、もっと広い視点からも研究を進めています。
パスワードや指紋認証から、スパイ映画に出てくるような強力なプロテクトまで、コンピューターのセキュリティーにはさまざまな方法と段階があります。しかし、携帯電話に国家機密を守るようなロックをかけてもきつくて邪魔なだけです。セキュリティーには、守りたいもののレベルに適した強さが必要不可欠です。
そこで、守られる端末自身が自分に適したレベルのセキュリティーを選択する仕組みは作れないだろうかと考え、研究を進めています。通常は守る内容に合わせて、私たちユーザーがセキュリティーを選択して導入しますが、複数ある選択肢からコンピューター自身が自分に合ったセキュリティーを選ぶ仕組み、つまり、それを考えることのできるソフトウエアを開発中です。

ソフトウエアをパートナーに

将来的には、ソフトウエアが、いろいろな情報を学習し、成長していく仕組みを作りたいと考えています。そうなれば、スマーティブは、所有者の意志や思考を汲み取り、「あうん」の呼吸で働く唯一無二の代理人になれますし、弱点や癖をよく知り、より的確にセキュリティーを選択することのできるソフトウエアを作ることもできます。
学習し、成長するソフトウエアたちは、セキュリティー面だけでなく、部屋の温度や照明、流す音楽などといった身のまわりの環境まで、ユーザーに合わせて考え、設定してくれるようになるかもしれません。
ソフトウエアたちが人間のパートナーとなり、生活をより豊かにし、より高度な活動を可能にしてくれる社会。そんな素敵な世界を目指して、今後も研究を続けていきたいと思っています。

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取材・構成 田中 亮

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