研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

橋爪 宏達
HASHIZUME Hiromichi
アーキテクチャ科学研究系 教授
学位:工学博士(東京大学)
専門分野:計算機アーキテクチャ
研究内容:http://researchmap.jp/hashizumehiromichi/

サイエンスライターによる研究紹介

機械と人間とのインターフェースの向上を目指す

私の研究は、人間がコンピューターを使って作業や仕事をしやすくするため、機械と人間との接点(マン・マシン・インターフェース)を、より使い勝手の良いものにしていくことを目指しています。人間と機械のより緊密な関係を築くのが目標です。あわせてその理論的な裏づけも求めています。

超音波センサーで3 次元の位置情報を正確に認識

2000年頃から、携帯電話や携帯情報端末(PDA)のような小型コンピューターの本体を空中で動かすことで、他の機器にデータを移動できるようなインターフェース開発に関係しました。これを実現するには、利用者やモバイル端末の正確な位置認識が必要になります。その過程で生まれた成果が、現在も研究を継続している超音波を用いたセンサー技術で、GPS(全地球測位システム)の電波が届かない屋内で、端末の3 次元の位置や動きを高精度に計測することが可能になりました。天井など3~4m離れた場所から測定すると、従来のシステムでは10cm 程度の誤差がありましたが、周波数の異なる2 種類の超音波を同時に用いることで、誤差0.3mm を得ました。
これは100倍以上の精度向上です。開発したセンサーシステムは、ナビゲーションシステムやロボット制御への応用、また空中で操作可能な新型マウスの開発といった実用化が期待されています。

未踏の物理に触れるという醍醐味

身に着けて利用するウェアラブルコンピューターにも取り組み、胸と背中に液晶画面を取り付け、無線装置を組み込んだ服を試作しました。あらかじめ自分の趣味や仕事などのデータ(画像)を登録しておくと、この服を着た2人が出会うと自動的に無線で情報を交換し合い、互いのプロフィールに似たものがあれば、液晶にその画像が現れるという仕組みを入れました。初対面の人同士が集まった会合などで、名刺代わりに使うという用途が考えられます。この研究には、ウェアラブルコンピューターに単に機能を求めるだけではなく、対人関係などに果たす社会的役割を追求しようという目的を込めました。
ヒューマンインタフェースからは離れますが、1958年に、当時東京大学の高橋秀俊氏の研究室で、物理現象を応用したパラメトロンという論理回路素子を用いて作られた計算機を、50年を経て、入手可能な素子により再現することを試みました。当時指摘されていた問題点が、今も解決されないまま残っていることが明らかになりました。コンピューター分野は前を見据えた研究にばかり光があたりがちですが、たまには昔を振り返ることも大切だと思っています。
私はもの作りが好きなのですが、実際に何かを作る段階になると、自然現象に逆らわなければならない苦しさに直面します。試作品が目的どおり動くこともうれしいですが、その過程でこれまで踏み込まれていなかった物理学の理論の一端を捉えたと思える瞬間が、最も楽しい時です。

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取材・構成 塚崎朝子

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