研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

五島 正裕
GOSHIMA Masahiro
アーキテクチャ科学研究系 教授
学位:博士(情報学)
専門分野:計算機アーキテクチャ
研究内容:http://researchmap.jp/goshima/

サイエンスライターによる研究紹介

マネージメント部門の改良がコアの高性能化の道を拓く

"コンピュータアーキテクチャ" とは、「どんなコンピュータをつくりたいか方針を決める」ことで、自由度が高く、研究者の好みが反映されやすい分野です。このような分野では、従来の常識にとらわれることなく、自分の"直感"を信じて進むことが時には大切だと思っています。

「コアはまだまだ速くなる」という直感を信じて

私が寄る辺にしてきたのは、「コアはまだまだ速くなる」という直感です。コアとは、それぞれ足し算や掛け算、メモリとのデータのやり取りなど、一揃いの機能を備えていて、完全なコンピュータをつくることができる単位です。かつて、LSIチップに回路素子を詰め込めるだけ詰め込んでコアの高速化が図られました。それが今では発熱などの問題があり、これ以上の高速化は難しいと言われています。それを補うように、今あるコンピュータには複数のコアが入っています。この現状に反して私は、コアには速くなる余地があると思っているのです。

「マネージメント部門」を小さくしたい

コンピュータを動かすには、何をするかと、それをどのように実行するのかという2つが必要です。"何をするか"はプログラムに書かれていますが、"それをどのように実行するのか"はコアの「マネージメント部門」が自動で判断します。マネージメント部門は、例えば、要領のいい人が、料理本(プログラム)を渡されたとき、素材を切りながら後で必要になるお湯を沸かしておくといった先読みをするように、プログラムを効率よく実行しています。しかし、現状では、この部門があまりに大きくなってしまったため、なくしてしまおうという動きがあります。その分、同じ面積に入れるコアの数を増やせば、コンピュータの単位面積あたりの性能を上げられるからです。それには、マネージメント部門が行っていた判断をプログラムに書かなくてはならず、プログラマの負担が伴います。そこで私は、独自にマネージメント部門を小さくする方法を探ってきました。

決め手は、マネージメント部門の再編

その方法とは、マネージメント部門の再編でした。マネージメント部門を、よくある状況にしか対処できない初心者のチームと、あらゆる状況に対処できるエキスパートのチームに分けたのです。初心者のチームはできることが限られているため、一方、エキスパートのチームはたまにしか働かないため、どちらも小さくできます。その結果、マネージメント部門を、従来のものと遜色ない動作速度を維持しながら、大幅に小さくすることに成功したのです。小さくしたことで、省エネにもなり発熱を抑えることもできました。この発熱がコアの高速化を阻んでいた要因だったため、結果的に私がこれまで信念としてきた「コアはまだまだ速くなる」という直感が正しかったことも明らかになりました。
ここまで、シミュレーションにより十分な検証を行ってきました。今後は、実際にコンピュータを作成したいと考えています。コンピュータはまだまだ発展の余地があるのです。

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取材・構成 池田亜希子

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